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手づかみ食べは発達にいいの?相談歴20年の心理師が伝える離乳食を手づかみすることのメリット4選

子育て
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はじめに

離乳期の大切な発達ステップである「手づかみ食べ」。

子どもが自分で食べ物を手に取り、口に運ぶ経験は、味覚・触覚・運動機能・食への興味など、多面的に成長を支えます。

この記事では、「手づかみ食べっていつから?どう進める?」「離乳食とどう関係する?」「実際の進め方・注意点」を整理しました。

手づかみ食べは発達にいいことがたくさんあります!

その良さについて、是非このあともご覧ください。

 


「手づかみ食べ」とは何か?

「手づかみ食べ」とは、赤ちゃんが自分の手(あるいは指先)で食べ物を掴み、それを口に運んで食べることを指します。

この行動が重要とされる理由には、次のような側面があります。

  • 目で食べ物の形・大きさ・位置を確かめ、手でその特性(硬さ・温度・触感)を感じ、口に運ぶという「目・手・口」の協調運動を学ぶ。厚生労働省

  • 食べ物に自分から触ることで「自分で食べる」という意欲・主体性が育つ。

  • この時期はスプーン・フォーク等の道具を使えるようになるための準備段階として手づかみ食べを経験し、手先の器用さを促す。

  • 食材を手で触ることで五感(触覚・温度・質感など)を刺激し、味覚や食材への関心を促す。

手づかみ食べは「ただ汚すから早くやめさせたい」といったものではなく、離乳・幼児期の発達にとってとても大切なステップなのです。

汚されることは親にはストレスですよね。対策は下にも書いてあります!

 


離乳食と手づかみ食べの関係

離乳食の進め方の基本

日本における離乳の支援ガイドでは、離乳期(母乳・ミルクから段階的に固形物や家庭食へ移行する時期)を「初期・中期・後期・完了期」などに区分しています。

中期〜後期にかけて、手づかみ食べが中心になるといわれています。

手づかみ食べが適した時期

具体的には、以下のようにいわれています:

  • 生後9か月頃から「手づかみで食べる」動きが表れ、後期(9〜11か月頃)には活発化する。

  • 離乳完了期(おおよそ12〜18か月頃)には手づかみ食べから、スプーンやフォークなどの道具使用への移行が徐々に始まる。

離乳食の進め方と手づかみ食べは密接に関係しており、適したタイミングで無理なく手づかみを導入することが、子どもの食べる力を育てる上で重要です。

 


手づかみ食べを進めるメリット

手づかみ食べを取り入れることには、次のような多くのメリットがあります。

  • 運動機能・手指の巧緻性の発達

     食べ物を掴む、口まで運ぶ、咀嚼するなどの動作を通じて、手指・顎・舌・口唇の協調運動が鍛えられる。

  • 食材への興味・探究心・主体性の育成

     赤ちゃんが自分で選び取って口に運ぶという行動は、「自分で食べる」「自分でやってみる」といった意欲を育み、自分で食べる達成感が食べることへの好循環につながる。

  • 食材・味・触感の認識と「安全確認」の経験

     初めての食材・触感・温度に触れることで、子どもは「これをつかんだらどうかな?」「これなら噛めるかな?」と体験を通して学ぶことができる。これは、偏食予防や食材への抵抗を軽くするためにも役立つ。

  • 食べるペース・ひと口量の自己調整の練習

     スプーンで与えられる一口量よりも、自分の手で掴むことで「どれぐらい入れたら食べやすいか」「どれぐらいなら自分で噛めるか」を少しずつ学ぶことができる。これが咀嚼・飲み込み・窒息リスク軽減にもつながるという報告がある。

こうしたメリットを考えると、手づかみ食べを「汚れるから控えたい」「親がスプーンで食べさせた方が早い」という理由で軽視するのは、もったいないといえるかなと思います。

 


手づかみ食べを進める際のポイントと注意点

とはいえ、手づかみ食べには「汚れ」「遊び食べ」「窒息リスク」など、保護者・保育者が戸惑いやすい面もあります。そこで、安心して進めるためのポイントと注意点を整理します。

環境の準備

  • 床やテーブルが汚れやすいため、あらかじめエプロンをつけたり、テーブル下に新聞紙やビニールシート、拭き取りやすい敷物を敷いたりする準備が重要。厚生労働省

  • 椅子やベビー用チェアにしっかり座らせ、「食事をする場=安全で落ち着いた場所」と認識させましょう。

  • 手づかみ食べを始める時期は、空腹のタイミングであることが望ましい。満腹すぎると遊び食べになりやすく、逆に空腹で集中できないこともある。

食材・形状・量の工夫

  • 手で掴みやすい大きさ・形状に切る。野菜はスティック状・コロコロ角切り、大きめのおにぎりなど。

  • 初めは掴んで口に持っていける硬さ(歯茎で潰せる程度)を目安に。徐々に前歯・奥歯を使って噛める食材へと進める。

  • 汁気の多すぎるもの、食べやすさに欠けるものは控えめに。手づかみ食べでは「食べる」ことより「掴む」こと・「運ぶ」ことがまず経験なので、形が保てるものが望ましい。厚生労働省

親・保育者の関わり方

  • 「遊び食べ」「こぼす」場面も出るが、焦らず「触ってみようね」「これ掴んだね」と温かく見守る姿勢が大切。成功だけを評価せず、プロセス(掴んだ/運んだ)をほめると意欲が育つ。

  • 汚れを理由に「手を出しちゃダメ」「テーブルで遊ばないで」と否定的になりすぎないように。

  • 家族が一緒に食卓を囲み、子どもが掴んだり食べたりする姿を見ていること自体が「食べる」ことへの興味を引き出す。

安全・発達面のチェック

  • 掴みやすく、噛みやすい食材でも、ひと口量や硬さ・温度に配慮し、窒息リスクがないように注意を。赤ちゃんは自分で「どれだけ掴めるか」「どれだけ口に入れていいか」を少しずつ学んでいく。

  • 月齢だけで無理に進めず、赤ちゃんの発達状況(首すわり・お座り・手の動き)や興味を見ながら進めることが推奨されている。

 


「手づかみ食べ」と「離乳食」の具体的な進め方

手づかみ食べを含む離乳食の段階別進め方をご紹介します。

各家庭のペースや子どもの個性もありますので、あくまで目安としてご覧ください。

初期(生後5〜6か月頃)

  • ミルク・母乳を中心にしつつ、10倍がゆなどのなめらかペースト状の離乳食を1回/日程度から始める。

  • この時期はまだ手づかみ食べを本格的に導入する時期ではなく、まずは「食べ物を口に運ぶ」「ゆっくり噛む・飲みこむ」体験を重ねることが大切。

中期(生後7〜8か月頃)

  • 離乳食回数は1日2回程度に増え、固さも少しずつ「舌でつぶせる/指でつぶせる」程度に。

  • 手づかみ食べの準備段階として、親がスプーンで与えながら、子どもが手を使いたがる姿が出てきたら、小さな一口サイズのおかずを置いたりと用意してみるのもよいでしょう。

後期(生後9〜11か月頃)

  • 離乳食1日3回+補食1〜2回というスケジュールが一般的になってくる。

  • この時期こそ「手づかみ食べを本格的に取り入れる」タイミング。おにぎり(小さめ)、ゆで野菜スティック、大きめの角切り野菜など、子どもが掴みやすい形状・硬さのものを用意する。

  • 親は隣で食べて見せながら、子どもの掴む・口に運ぶ・噛む様子を見守り、時には手を添えて食べやすさをサポートする。

完了期(1歳~1歳6か月頃)

  • 食事が家庭の普通食(大人の食事に近い形)へと移行していく。手づかみ食べで培った「自分で掴む」「自分で食べる」動きが、スプーン・フォーク・箸など道具使用につながっていく。

  • 汁物や軟らかめのものと一緒に、掴める形の食材を併用して「手で掴む」「道具で食べる」をバランスよく進めていきましょう。

 


よくあるお悩みとその対応策

Q1. 手づかみばかりでスプーンを使ってくれない

手づかみ食べを優先している時期は、スプーン使用が遅れることもありますが、これは「手で掴む経験を十分に積む」ために自然なことです。焦らず、子どもの興味が道具へ向かうタイミングを見守りましょう。

Q2. 触るだけで食べず、遊び食べばかりしてしまう

遊び食べは手づかみの過程でよく起こります。「掴む」→「運ぶ」→「口に入れる」のプロセスがまだ定着していない段階では、掴んだだけで遊びになることもあります。まずは「掴めたね」「口まで運べたね」とプロセスをほめて、遊びと食べるの違いを少しずつ教えていきましょう。

Q3. 汚れや片づけが大変でストレス

手づかみ食べ時期は、テーブル・床・服・椅子が汚れやすくなります。対策として「汚れても大丈夫な服」「撥水のエプロン」「テーブル下の敷物」「床マット」「食事後にすぐ拭き取れる環境」を整えることが重要です。これがストレス軽減につながります。厚生労働省

Q4. 離乳食を開始したのに手づかみを拒否する

子どもによって手づかみをあまり好まないケースもあります。手づかみ食べをしないからといって直ちに心配する必要はないともいわれています。無理に押し付けず、まずは掴みやすい形状・食感の食材を少しずつ試し、子どものペース・興味を尊重しましょう。

 


親・保育者が知っておきたい“発達支援”の視点

月齢・年齢だけで離乳・手づかみ進行を図るのではなく、子どもひとりひとりの発達・摂食機能(口唇・舌・顎の動き)に応じた支援が重要といわれています。

手づかみがなかなか進まない、噛む・飲み込む力に課題が見られる場合は、「食べる場の環境」「動作・姿勢」「食材の選び方」「感覚の関わり」などを、必要に応じて専門職(保育士・管理栄養士・言語聴覚士・作業療法士・心理師)と連携して支援することが推奨されます。

「家庭での食卓を親子で楽しむ」「子ども自身が掴める・運べる・噛める体験を豊富に」「食べる行動に対してポジティブな声掛け」を習慣化することで、食行動の安定化・発達促進を図ることができます。

 


まとめ

手づかみ食べは離乳食のなかで大切な一歩です。

「汚す・遊ぶ」といった表面だけを見て焦らず、「掴む→運ぶ→噛む/飲み込む」のプロセスを尊重しましょう。

汚れることへの親のストレスもありますが、その向こうに子どもの「自分で食べる」力と「食べることを楽しむ心」が育っています。

汚れには捨てられる新聞紙を下に敷く、という保護者さんの声も多いですよ。


参考

  • 厚生労働省「〈参考3〉手づかみ食べについて」 — 摂食機能の発達過程に手づかみ食べが果たす役割。厚生労働省