はじめに
「朝、子どもが泣いて『学校に行きたくない』と言った」「仕事と子どもの対応を両立できなくなり、退職を考えている」、こうした相談は多くあります。
文部科学省の最新調査では不登校の児童生徒数は過去最多を更新しており、子どもの不登校は家庭の生活や親の就労にまで影響を及ぼす大きな社会課題になっています。
この記事では、子どもが学校に行きたくないといったとき親が仕事を辞める前に知っておきたい情報と、具体的な対応の流れを整理します。
まず事実を整理する
2024〜2025年にかけての国内データや報道は、不登校の増加とそれに伴う家庭負担の深刻さを示しています。
文部科学省の調査では、小中学生の長期欠席(不登校)の数が増加し、児童生徒・学校現場の対応が強く求められています。
また、不登校の子どもをもつ保護者のうち「退職・休職・働き方の変更」を経験した割合が高いという報告がされています。
これらは単なる個人の問題ではなく、教育・労働・福祉が交差する社会課題です。

社会みんなで考えていくことです。
「仕事を辞める」前に確認すべき現実的な影響
親が仕事を辞めることは短期的に子どものケア時間を確保できる反面、以下のリスクや影響があります。
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家計への影響:給与や社会保険の喪失は生活水準や将来の貯蓄、年金の課題に直結します。
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キャリアの継続性:一度離職すると、再就職のタイミングや再就職時の条件が不利になる場合があります。
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精神的負担の移行:退職で時間はできても、孤立感や収入不安が新たなストレス源になることがあります。
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子どもの自律支援の機会損失:親が常に対応することで、学校や地域、専門家との関係づくりの機会がもてないまま固定化してしまう可能性があります。
これらを踏まえ、「辞める=最良」と単純に結論づけず、代替案や支援を先に検討することが重要です。
検討したい“辞める以外の選択肢”
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職場での柔軟な働き方の交渉
テレワーク、時短勤務、フレックスタイム、有給の分割取得などをまず相談してみましょう。「仕事は続けつつ働き方を変える」ことで対応している親も多いです。 -
学校・教育委員会・地域の支援を確認
文部科学省やこども家庭庁による不登校支援(COCOLOプラン等)や、スクールカウンセラー、訪問支援、居場所づくりなど、自治体や学校で利用できる制度が増えています。まずは学校やスクールカウンセラーに相談し、利用可能な支援を確認しましょう。 -
専門家(医療・心理・支援団体)への早期相談
不登校の背景には、不安障害・うつ傾向・発達特性・家庭関係など様々な要因があることがあります。早期に専門家と整理することで、家庭だけで抱え込む事態を避けやすくなります。 -
親の有給休暇や休職制度の活用
一時的な対応であれば休職や育児休業の取得、あるいは短期間の休みを活用して、子どもの状況を見極める方法があります。会社の制度を確認しましょう。
辞める選択をした場合の実務チェックリスト
それでも「辞める」と決めたら、以下を計画的に進めてみてください。
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家計の棚卸し:収支、貯蓄、住宅ローン、保険、社会保険料、失業給付の要件等を確認。
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社会保険・年金の手続き:健康保険や国民年金への切替え、国民健康保険料の負担軽減制度の確認。
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失業給付の受給要件・手続き:退職理由によっては給付開始条件が異なるため、ハローワークへ相談を。
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再就職支援・職業訓練の検討:離職中に受けられる支援(求職登録、職業訓練)を把握。
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退職タイミングの調整:子どものケアが急務でない場合、年度替わり・学期替わり等、影響を少なくするタイミングを選ぶ。
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周囲への伝え方:家族・配偶者と合意を取り、場合によっては学校や支援機関にも状況を伝えておく。
親が辞めて“うまくいったケース”と“失敗しやすいケース”
うまくいったケース
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退職前に制度(休職・時短)を尽くし、退職後は公的支援や地域の支援を積極的に活用した家庭。
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親が退職して短期的に手厚くケアした後、子どもが専門家の支援・学校の支援を受けて徐々に登校・学習へ復帰したケース。
失敗しやすいケース
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退職後に経済的困窮が深刻化し、家庭内ストレスが増えてしまった例。
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学校・支援機関との連携を怠り、子どもの社会的ネットワークが築けないまま時間が過ぎた例。
退職はあくまで一つの手段であり、成功は「退職後にどのような支援・計画を実行するか」に大きく依存することになります。
親として今すぐできる実践的アクション
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短期(今日〜数週間):子どもの気持ちを聞く/学校に状況を伝える/職場の休暇制度を確認する。
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中期(1〜3か月):医療・心理の専門家に相談/教育委員会や支援センターと面談/働き方の調整案を職場と詰める。
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長期(3か月〜):家計の見直しと職業計画/地域の居場所や学習支援への参加/再登校のペースを学校と調整する。
どの段階でも大切なのは「孤立しないこと」です。
同じような経験をする親の会や支援団体、行政窓口を積極的に活用してください。
まとめ
子どもが「学校に行きたくない」と言ったとき、親が「仕事を辞める」選択をするのは自然な反応です。
ただし、辞職は家族の生活基盤を揺るがす大きな決断でもあります。
まずは「辞める」以外の選択肢(職場制度の活用、学校・行政・専門家の支援)を確認し、計画的に判断しましょう。
必要ならば、ハローワーク、自治体の相談窓口、スクールカウンセラー、医療機関など複数の窓口を並行して相談することで、最良の道を見つけやすくなります。
誰もが一人で抱え込まず、社会全体で子どもの育ちと家族を支えていくことが求められています。
参考
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文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(最新版)。mext.go.jp
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文部科学省「不登校児童生徒への支援について(通知)・COCOLOプラン等」およびこども家庭庁の不登校対策。mext.go.jp


