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相談歴20年の心理師が伝えるイヤイヤ期エピソード実例10選:親ができる具体的なこととは?

子育て
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はじめに

イヤイヤ期――「魔の2歳児」とも呼ばれるこの時期は、子どもが自我を強く主張し始める発達段階です。

一般にイヤイヤ期は1歳半頃から始まり、2〜3歳頃に強まることが多いと言われています。

親の方が「もうイヤ!」という気持ちになってしまうことも少なくありません。

親にとっては大変ですが、これは子どもの成長の証であり、適切な対応で乗り越えられます(行動理解の基礎や支援法については厚生労働省などの資料が参考になります)。厚生労働省

この記事では、実際の相談場面でのイヤイヤ期の子どものエピソード実例10選と親ができる具体的なことをご紹介します。

分かる分かる…というエピソードがきっとあるはず!ひとりで悩まずに、みんなでこの時期を乗り越えられるといいですね。

 


イヤイヤ期

イヤイヤ期は「自分で決めたい」「自分の気持ちを伝えたい」という自我の芽生えが背景にあります。

言葉や感情の表現が未熟なため、「イヤ!」やかんしゃくで訴えることが多いです。

対応法としては、共感する、選択肢を提示する、環境を調整する、ルーティンで安定化するなどが有効になります。

こちらの記事も参考にしてみてください→イヤイヤ期?癇癪?大変な時期を親子で乗り越えるポイント

 


相談場面での具体例

実際に相談の多い、親子間で起きやすい10場面を「状況 → 子どもの言動 → 親の対応(NGとOK) → その後の学び」の順で示します。すぐ使えるフレーズやポイントも入れていまるので参考にしてみてください。


ケース①:スーパーで「これ買って!」と床に寝転ぶ

状況:買い物中、お菓子コーナーでおもちゃ付きのお菓子を握ったままAくんは動かなくなった。

Aくんの言動:「いや!買って!」と床に寝転ぶ。

親の対応(NG):無理やり抱えて叱る、「いい加減にしなさい!」と言って置いて帰ろうとする。

親の対応(OK):落ち着いた声で短く共感する(「欲しいんだね」)、選択肢を出す(「お家におやつあるよ。帰って食べる?それともこれ(親が買ってもよいお菓子など)なら買えるよ?」)。

学び:公共の場では親が冷静に対処することで本人の情緒が落ち着きやすい。

 


ケース②:朝の着替えを激しく拒否

状況:保育園に行く時間、Bちゃんに服を着せようとすると「イヤ!」と逃げたり固まる。

Bちゃんの言動:床に座って動かない、泣き叫ぶ。

親の対応(NG):早口で怒鳴る、無理に押さえつけて服を着せる。

親の対応(OK):選択肢を与える(「今日は赤い服と白い服どっちにする?」)、タイマーで「音が鳴ったら(あと5分など)で出発だよ」と見通しを伝える、着替えを歌にするなど遊び化する。

学び:自分で選べる感覚を与えるとモチベーションが上がりやすい。「選択肢を提示すること」は、専門的にも推奨されている。

 


ケース③:玄関で靴を嫌がり立ち止まる

状況:外出準備中に玄関から部屋に戻ってしまい、靴を履かないというCくん。

Cくんの言動:「いや!」「抱っこ!」と泣く。

親の対応(NG):「お出かけ楽しいでしょ!」と叱って強引に履かせる、すぐに怒鳴る。

親の対応(OK):抱っこで落ち着かせた後、靴を擬人化(履いてよ~と靴が言っている)させたり、片方履くごとに褒める。今日は靴を履かずに行ける場所か判断したり、車の場合はとりあえず靴は親が持って行くかを検討する。

学び:まずは感情のクールダウンを優先すると安全に解決できることが多い。

 


ケース④:食事中に食器を投げる

状況:食べたくない、または自分でやりたい時に食器を投げるDちゃん。

Dちゃんの言動:食器や食べかけのご飯を放り投げる、泣く。

親の対応(NG):「投げないの!」と叱って物を取り上げる。

親の対応(OK):短く共感する(「自分で食べたかったんだね」)、代替案(手で食べてもOK、簡単に掴めるものに替える)を出す。徐々に「持って食べようね」と一貫したルールを教える。

学び:自分でできる能力と情緒が噛み合っていないことが多い。共感→ルールを教えるが基本となる。

 


ケース⑤:他の子のおもちゃを奪う

状況:児童館で他の子が遊んでいるおもちゃを欲しがって強引に奪ってしまうEくん。

Eくんの言動:「ダメ!」と言いながら他の子を押しのけておもちゃを引っ張る。

親の対応(NG):「意地悪しないの!」と言って叱り、おもちゃを取り上げる。

親の対応(OK):代弁して気持ちを言葉にする(「使いたかったんだね」)、順番のルールを簡単に説明する(「今は使ってるよ。次に使おうね」)、替わりのおもちゃを提示する。「貸して」という練習する場面を少しずつ増やす。

学び:社会性は繰り返し学ぶもの。親が場面ごとに気持ちを言葉で表現してあげることが効果的。

 


ケース⑥:お風呂に入らない

状況:おもちゃで遊んでいる途中、お風呂の時間だよと声を掛けると「いや」と逃げるFちゃん。

Fちゃんの言動:浴室を怖がる、扉の前で泣く。

親の対応(NG):お風呂入らないとお化けくるよなどと脅す、無理やり連れて行く。

親の対応(OK):お気に入りのおもちゃを一緒にお風呂に入れる、温度を考える(熱い湯が苦手なのか、脱衣所の冷たい空気が苦手なのか)、親が先に入って見せる。無理強いしない方針で徐々に慣らす。

学び:恐怖や不快が背景にあることもあるため、その見極めと環境の調整が必要になる。

 


ケース⑦:他人が抱っこすると嫌がる

状況:親以外の大人に抱っこされると暴れるGくん。

Gくんの言動:「いや!ママ!」と泣く。

親の対応(NG):無理にその大人に抱っこさせて「挨拶しなさい」と言う。

親の対応(OK):本人のペースを尊重し、まずは見守る形にする。短い時間、親が近くで抱っこして、その大人と親が話をするだけにするなど安心させながら徐々に他者に慣れさせる。無理強いは逆効果になる。

学び:安心感は他者との距離を自分で確認したり、自分で取れる自由から生まれるものと心得ておくことが大事。

 


ケース⑧:棚のものを次々と引っぱり出す

状況:家の引き出しを次々に開けて中身を引っぱり出すHちゃん。

Hちゃんの言動:満面の笑みで散らかす。

親の対応(NG):ただ叱って怒り、片づけるだけ。

親の対応(OK):安全な引き出しや引っぱり出して遊べるコーナーを用意して興味を満たす。引き出し自体はロックするが、替わりの探索アイテムを与える。Hちゃんの行動を見守りつつ親の方でここはOKという境界を作る。

学び:好奇心を封じるのではなく、安全に満たす工夫が必要になる。

 


ケース⑨:「○○しないで!」を繰り返す

状況:言いたいことがうまく伝えられず、全てに「イヤ!」「ダメ!」と反応するIくん。

Iくんの言動:些細なことに過剰に反応して泣いてしまう。

親の対応(NG):「うるさい!」と怒鳴って言葉で押さえつける。

親の対応(OK):気持ちを代弁して言語化する(「○○したくないんだね」)、簡単な語彙を教える(「怖いね」「びっくりするね」など)。遊びの中で言葉の選択肢を増やしていく。

学び:言葉にしてあげる対応は情緒の安定に直結する。親が気持ちを代弁することは専門家も推奨している。

 


ケース⑩:突然「ママいや!」と言って距離を取る

状況:親が疲れてイライラしていると反発的な振る舞いをするJちゃん。

Jちゃんの言動:「ママいや!」と突き放す。

親の対応(NG):自己嫌悪に陥る、親が悲しくなって泣く、怒るなど感情的に反応する。

親の対応(OK):一度Jちゃんと距離を取って、親が深呼吸をしたり、隣の部屋に行くなど短時間の休憩を取る(子どもの安全策をとった上で)。親のメンタルケアを優先し、他の大人に助けを求める。親が落ち着くと子どもも安心する。

学び:親の心身のケアは子育ての質に直結する。親が支援を求めることは「甘え」ではなく子育てにとってとても大切なことと知っておく。

 


共通する対応のコツ

  • 短く共感する:「イヤだったね、困ったね」など短い言葉で感情を受け止める。

  • 選択肢を出す:二択を出して選ばせると自尊心が満たされやすい。

  • 見通しを伝える:タイマーや歌で次に何が起きるか分かるようにする。

  • 環境を整える:危険物は手の届かない所へ、替わりの遊びを用意する。

  • 親のセルフケア:短い休憩を取ったり周囲に助けを求めること。親が落ち着くことが最も効果のあることである。

 


まとめ

イヤイヤ期は親にとって消耗戦のように感じられますが、子どもが自分を表現する重要な時期でもあります。

今回ご紹介した10例は、相談場面での典型的な場面と対応の一例に過ぎませんが、共通するのは「安全確保→子どもの感情の受け入れ→具体的な代替(選択肢や環境調整)」という順序です。

完璧を求めず、親も自分の小さな頑張りを自分で褒めてあげましょうね。親の心身のケアは本当にとても大切なことです!

 


参考

  • 厚生労働省「子どもの行動の理解と援助」ガイド。厚生労働省