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子どもの感覚過敏に親はどう対応する?相談歴20年の心理師がみてきた感覚過敏の具体例

感覚過敏
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はじめに

感覚過敏は、自閉スペクトラム症などの発達障害に伴って見られることが多い「日常の刺激を過剰に不快・苦痛と感じる」状態です。

音・光・触覚・味・匂い・動き(前庭感覚)など、複数の感覚にまたがって現れることがあり、場面によっては強い不安やパニックにつながることがあります。

まずは「どの感覚で困っているか」を具体化することが対策の第一歩です。

発達障害と診断されていない子どもにも感覚過敏が見られることがあります!感覚過敏=発達障害ではないです。

こちらの記事も参考にしてみてください→感覚過敏の子どもの子育て-相談歴20年の心理師が伝える敏感な子を支える親が知っておきたいこと

 


感覚過敏の主な種類と具体例

  • 聴覚過敏:チャイムや掃除機の音で耳を塞いだりパニックになる。クラスの雑音で集中することができずに苦痛を感じる。

  • 視覚過敏:蛍光灯のちらつきや強い色、コントラストに疲れて不安を示す。

  • 触覚過敏:衣服のタグや、帽子の感触、手袋の肌触りなどが我慢できず脱ぐ。抱っこや触れ合いを極端に嫌がる。のりやセロハンテープを触れずに、工作活動に支障が出る。

  • 嗅覚/味覚過敏:食べ物や化粧品、柔軟剤のにおいで気分が悪くなる。特定の味や食感のものしか食べれない。

  • 前庭・固有受容感覚の過敏/鈍麻:揺れやバランスが苦手で遊具を避ける。逆に鈍感で危険な行動が増える場合もある。

(※感覚過敏と感覚鈍麻が混在することもあります)

 


すぐに使える具体的対策(家庭・学校・外出)

聴覚過敏への具体的対策

  • 道具:通学時や行事で着用可能な子ども用の耳栓、遮音イヤーマフを活用する。効果が出るまで段階的に慣らす。

  • 環境:行事や授業で大きな音がある時間は事前に伝える(予告する)→心の準備を作る。

  • 家庭での工夫:テレビや家電の音量を下げ、ドアの開閉音や床の振動を緩和するためにラグを敷く。

視覚過敏への具体的対策

  • 照明調整:蛍光灯ではなく間接照明や調光可能なランプにする。サングラスや色の薄い偏光眼鏡で光刺激を軽減する。

  • 教材の工夫:強いコントラストやぎらつく画面を避ける。紙面は余白を増やすなど視覚負荷を減らす。

触覚過敏への具体的対策

  • 服装:衣服のタグを切る、縫い目の少ない服、柔らかい素材、締め付けの少ない服を選ぶ。靴下や下着の素材を変えて合う素材を探す。

  • 触れ方の工夫:抱っこや接触が苦手なら「予告してから触る」「手をつなぐ位置を相談する」など対等な合意を重視する。

  • 代替刺激:重めのブランケット、抱き枕、バイブレーション系おもちゃで安心感を補う(安全への配慮は必要)。

嗅覚・味覚過敏への具体的対策

  • 食事:食感や匂いの少ない食品、小分けにしたメニューで少しずつ慣らす。無理強いは禁物。

  • 匂いの管理:化粧品や柔軟剤の強い香りは避け、外出時はマスクを着用したり、お店では匂いの少ないルートを選ぶ。

前庭感覚・運動感覚への対策

  • 活動設計:ブランコやトランポリンなど「安定した段階的な運動」を取り入れる。安全を確保しつつ短時間から導入する。

  • 日常での取り入れ:日々の“感覚を整える活動”を計画的に入れる。

合う玩具を探したり、試してみる場合には、おもちゃレンタルサービスを活用している方もいます。

 


日常で使える環境調整と道具

  • 聴覚過敏対策-イヤーマフ/耳栓。

  • 視覚過敏対策-調光ライト/偏光サングラス。

  • 触覚過敏対策-タグカッター・シームレス服・ソフト素材の衣類。

  • 代替刺激-重めブランケット・圧迫ベスト(深圧は落ち着く子どももいるが個人差あり)。

  • 変化を減らす工夫ースケジュール表・事前予告カード。

 


専門的支援の現状

  • 作業療法(OT)/感覚統合療法(SIT):作業療法士による「感覚の調整を目的とした活動」は実践例が多く、機能的な改善の報告が多くあります。例えば深圧や遊びを通した感覚統合アプローチは広く用いられていますが、個別の適合性を見ながら進めることが大切になります。

  • 感覚ベースの簡易介入:学校や家庭でできる「環境調整」は、低コストで実行可能です。個人の感覚に合わせながら、試すことを繰り返してみましょう。

  • 実務的な注意:介入を始めるときは作業療法士や発達支援の専門家と目標を明確にし、効果を観察(記録)することがよいでしょう。道具や手法は万能ではなく、子どもの反応を最優先に調整しましょう。

これがすごく合った!という子もいれば、うちの子には合わなかった…ということもあります。専門家と一緒に工夫しながら探れるといいですね。

 


過程・学校で使える支援を始める時のチェックリスト

  1. どの感覚で困っているかを具体的に書き出す(音・光・触感など)。

  2. 発作的な反応(パニック)か、慢性的な不快かを記録する。

  3. 日常で効果のあった工夫(道具・環境調整)を一覧化する。

  4. 学校や保育園と共有できる「配慮メモ」を作る(例:「大きな音がある時は事前に知らせてください」)。

  5. 作業療法や発達相談が必要か検討し、専門家に相談する。

 


具体的な場面別ワンポイント

  • 買い物で子どもが嫌がる:短時間で帰るルートを作り、聴覚へはイヤーマフ、嗅覚への配慮ではマスクを準備しましょう。

  • 学校の運動会・発表会:事前に見学場所を相談し、大きな音や賑やかな音のある場面では休憩スペースを確保してもらいましょう。

  • 食事の偏り:好きな食感を軸に、嗜好の近いメニューを少しずつ拡げるイメージをもちましょう。過敏さがひどくなってしまうことがあるので、無理に押し付けないことが大切です。

 


まとめ(保護者・支援者へ)

感覚過敏は「本人にとって現実に苦痛をもたらす」ため、その子どもに合った具体的な対策が必要です。

大切なのは(1)どの感覚が困っているかを具体化する、(2)小さな環境調整や道具でまず負担を減らす、(3)専門家と連携して段階的に取り組む、という流れです。

地域や学校の理解も広がっており、耳栓やサングラスを認める取り組み、静かな時間の設定などの実例も増えています。

まずは家庭でできる小さな工夫から試してみてください。

少しでも生活しやすい環境になるといいですね。

生活が整うと、感覚過敏も段階的に慣れていくことがあるので大丈夫ですよ。