はじめに
1歳6ヶ月健診(いわゆる「1歳半健診」)は、身体の発育だけではなく「ことば」「運動」「社会性」といった発達を総合的に確認する重要な機会です。
健診では保健師や小児科医に加え、自治体によっては心理職(臨床心理士や公認心理師など)が参加し、発達の気になる点を丁寧に聞き取ってくれます。
この記事では、1歳半健診の内容と具体的な相談の様子についてまとめています。
3歳児健診についてはこちらをご覧ください。ガイド3歳児健診の内容は?相談歴20年の心理師が伝える3歳児健診の内容と心の準備ガイド

具体的にどんなことをするのか気になる方も多いですよね。
目次
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1歳6ヶ月健診って何を見るの?
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健診の目的 — 早期発見と支援への橋渡し
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事前に準備しておくもの(持ち物・記録)
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健診当日の流れと典型的なチェック項目
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発達相談を勧められた!心理職(心理師)はどんな相談に役立つ?
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「気になる」と感じたときの次の一手(発達支援・受診の目安)
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親ができる家庭での観察と接し方(具体例)
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まとめと自治体リソース
1歳6ヶ月健診って何を見るの?
1歳6ヶ月健診は、身体(身長・体重・頭囲など)の計測に加え、言語・運動・生活習慣・社会性の発達を確認する健診になります。
具体的には「ひとりで歩けるか」「意味のある単語を話すか」「簡単な指示に反応するか」「他児や保護者と一緒に遊ぶ様子があるか」などが確認されます。
これらは発達のひとつの目安として重要と考えられているからです。
健診の目的 — 早期発見と支援への橋渡し
健診の目的は単に「異常を見つける」ことだけではありません。
見つかった心配な点をもとに、保健師や医師、心理職が連携して家庭への助言や地域の支援につなげることが大切なのです。
自治体の健診マニュアルや実践ガイドでは、多職種が連携することで健診後のフォローアップ(療育、専門医紹介、保健指導)が円滑になると言われています。
事前に準備しておくもの(持ち物・記録)
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健康手帳(母子手帳)
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健診通知・問診票(自治体から届く場合は事前に記入する)
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普段の食事・睡眠・排泄の様子をまとめたメモ(例:お昼寝の回数、授乳や食事の回数と種類、便の様子など)
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家での伝えたい気になる行動のメモ(具体的な場面や頻度)
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子どもの好きな玩具やおやつ(健診中や待ち時間の子どものご機嫌対策のため)
特に「具体的なエピソード」はとても役に立ちます(例:「指差しをあまりしない」「名前を呼んでも反応が薄い」「人見知りが強い」など)。
健診では短い時間であるため、事前に箇条書きにして持っていくと伝わりやすいです。

気になることや相談したいことがある場合には、後日改めてゆっくりと時間を取ってもらうこともできます。

健診当日の流れと典型的なチェック項目
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受付・問診票の確認(保護者が記入)
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発育計測(身長・体重・頭囲)
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筋肉・運動の観察(歩行の様子、階段昇降の有無など)
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言語・コミュニケーションチェック(単語、指差し、簡単なやりとり)
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医師の診察(視診・聴診など)
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保健師との面談(生活指導・育児相談)
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必要に応じて心理職や栄養相談、専門機関への案内
問診では子どもの日常・保護者の不安・家庭環境についても触れられることがあります。
自治体によっては集団形式(会場で複数家族が同時に)と個別形式(予約制)の二種類があり、どちらかは通知で案内されます。
発達相談を勧められた!心理職(心理師)はどんな相談に役立つ?
心理師(臨床心理士、公認心理師など)は、子どもの発達行動の観察や保護者の悩みの聞き取り、発達支援の初期的アドバイスに長けています。
具体的な役割は次のことが挙げられます。
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保護者からの聞き取りを行い、発達上の「気になる点」を整理する。
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簡易的な発達スクリーニング(臨床的視点)を用いて、専門医や療育機関への紹介の要否を判断する。
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保護者への応答的な育児支援(遊びの仕方、声かけの具体例など)やストレス軽減の相談を行う。
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必要に応じて検査や詳細な評価が可能な医療機関・発達支援センターへの橋渡しをする。(日本臨床心理士会)
心理職がいる健診では「ただ不安を受け止める」だけでなく、次の具体的措置に繋げることが期待できます。

うまく伝えられなくても大丈夫!気になっていることは尋ねてみましょう。

「気になる」と感じたときの次の一手(発達支援・受診の目安)
健診で指摘を受けた場合、または保護者が日常で以下のような点を感じるときは早めの相談をおすすめします。
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18ヶ月で意味のある単語がほとんど出ない
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指さしや視線の共有が少ない
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指示に従わない
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反応が極端に薄い(聴力に問題がある可能性)
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運動発達に遅れがある(歩行が不安定、片側に偏るなど)
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強いこだわりや感覚の偏りが目立つ(触られるのを極端に嫌がるなど)
相談はまず保健センター→心理職・保健師→小児科や発達外来という流れが一般的です。
各自治体の実践ガイドでは、早期に支援へつなぐ体制づくりが重要であるとされています。
親ができる家庭での観察と接し方(具体例)
健診の短い時間だけで全てが分かるわけではありません。

日常の中でできる観察と声かけ例をいくつか紹介します。
日常観察のポイント(メモに残すと良い)
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いつ・どこで・どのような行動が起きたか(具体的に)
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周囲の人(親やきょうだい)とのやりとりの様子
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好きな遊び、嫌がること、得意なこと・苦手なこと
すぐに使える声かけの例
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視線の誘導:「あ、ここにワンワンがいるよ。ワンワンどこかな?」(指差しや視線の共有を促す)
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言語の促し:「ブーブー、何してるの?ぶーぶーはどこかな?」(語りかけを増やす)
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真似っこあそび:「ジャンプしてみよう!ママもジャンプ!」(社会的な模倣を促す)
短く具体的な声かけを繰り返すことで、発語ややりとりのチャンスを増やすことができます。
心理職からはこうした実践的な例をその場で教えてもらえることが多いです。

鳴き声の真似、擬音語などはこどもにとって聞き取りやすいのでたくさん使ってみましょう!
まとめと自治体リソース
1歳6ヶ月健診は「早期発見」と「支援につなげる」ための重要なチェックポイントです。
事前に日常の様子をメモし、具体的なエピソードを持参すると、保健師や心理職と効果的に相談することができます。
自治体ごとに実施方法やフォロー体制は異なるので、健診通知や自治体の保健センターの案内(実践ガイドや身体診察マニュアル)をよく確認しておきましょう。